仏語歌詞の覚え方

離婚一週間後に2人の子連れ、36歳で豪州大に留学して、中国語とドイツ語を選択したときのこと。当時、経済も必修だった。大学にバスで3つ目のところにアパートを借り、トイレと浴槽とシャワーが同じスペースにあるタイプで、そのタイルの壁いっぱいに、英文のグラフ、覚えなければならない中国語単語、ピンイン、意味、ドイツ語の単語をA4サイズの紙にカラフルに書いて、ビニールのルーズリーフに入れ、セロテープで貼りまくって覚えていた。冷蔵庫、戸棚のドアにも貼っていた。何しろ毎週テストはあるし、落第したら半年卒業が伸びてお金が無駄になるし、良い成績で卒業すれば、修士を1年でやらせてもらえるので、ともかく書いては見、書いては見、で覚えたと思う。中間テスト、期末テストの課題レポートを文章にしてから、分解してパラグラフごとに丸暗記したこともある。自分が書いた文章を覚えるのは難しくない。残念ながら、大学卒業後、独語も中国語も忘却の彼方。小学生の子ども2人の手前、ママはやったぞよ、と卒業せねば国には戻れない、と思っていた。子供たちの勉強を見てあげる余裕はほぼなかった。ぎゃっ!と思うほど小中学生の全教科を英語で理解するのはまだ難しかった、私にも。幸いにも、息子と娘は現地で適応し、3年半の滞在のうち、只の一度も日本人学校へ行くこともなく過ごした。アパートから日本人学校まで遠すぎて、車も時間もない私が連れていけなかったため。帰国後は私以上の大学を出てくれた。
それから10年後、今度はアリアンス・フランセーズに申し訳程度に1年通い、フランスへ行ったけれど、独語と仏語の動詞の変化が似ている部分もあって、どうしても混じってしまって頭に入らなかった。何と言っても、絶対に卒業する!覚える!という強い強い動機がなかったから。そして、覚えたらもっと楽しいけれど、覚えなくても片言でもさして困らないというぬるま湯の生活に甘んじていたから。どっちかといえば、留学するのは娘で、私は付き添いよ、くらいのお気楽な感じ。シドニーで最後の年1年分の単位を半年で取らせてもらい、必死で勉強したので、もうあの経験はしんどい、と思っていた。
先回仏検を受けて受かったけれど、もう少し上の級に合格しようと思って、つまらない学習を楽しくするために、歌を覚えることにした。Aimerを毎日ともかくyoutubeで見て聞いて、歌詞を英語でざっと理解し、わからない仏単語をチェック、わからない仏文法を友人に聞いて、全部理解できたら仏語歌詞を紙に書いてお風呂でそれ見て歌う。ビニールのファイルに入れて、浴室そばに置いておく。家から駅まで歩いているときに見ないで歌ってみる。歌詞を持ち歩き、地下鉄に乗った時に見る。Aimerの歌詞を全て覚えた時は、おおーできた、と感動。セシリア・カラとダミアン・サルグの声がとても耳に心地良いので、脳にすうっと入っていくのだと思う。次はLe Balconにしようかな。やはり短調の悲しげな曲よりは、明るい曲のほうがやる気が出ますネ。本当は、ディクテの練習のため、歌をかけておいて歌詞を書けるまでやるべきなんだけど。